"体幹"てなに?体幹の重要性とリハビリテーション

リハビリをしているとセラピストの口から「体幹が...」という言葉をよく聞くと思いますが、

そもそも体幹でなんぞや?と感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、体幹の重要性について、特に脳卒中後の影響や乳幼児の発達との関連を中心に解説し、リハビリの具体的な方法についても紹介します。

脳卒中後に体幹が弱くなりやすい理由と影響

脳卒中は、脳の血流が遮断されることで神経細胞が損傷を受け、身体の運動機能や感覚機能に影響を及ぼします。

特に、体幹が弱くなりやすい理由として以下が挙げられます。

1-1. 体幹を制御する神経ネットワークの損傷

体幹の安定性は、主に大脳皮質、脳幹、小脳によって制御されています。

脳卒中によりこれらの部位が損傷されると、筋肉の協調性やバランス機能が低下し、体幹の安定性が失われます。

1-2. 片麻痺による筋力低下と不均衡

脳卒中では、多くの場合**片側の筋力が低下(片麻痺)**します。

体幹も例外ではなく、特に患側(損傷を受けた側)の筋力が低下するため、体幹の左右バランスが崩れ、姿勢が維持しにくくなるのです。

1-3. 座位・立位・歩行能力への影響

体幹の機能低下は、以下のような身体機能への影響を引き起こします。

座位バランスの低下:座った状態で姿勢を保持するのが難しくなり、転倒リスクが増加する。

立位バランスの不安定化:体幹が安定しないため、立った状態でも揺れやすくなる。

歩行の不安定さ:体幹の筋力低下により、正しい歩行パターンが難しくなり、代償動作が生じる。

このように、脳卒中後に体幹が弱くなると、日常生活動作(ADL)が著しく低下し、自立度にも大きな影響を及ぼします。

乳幼児の体幹の重要性

体幹の重要性を理解する上で、乳幼児の発達過程を知っておくことも重要です。

まず首(頸部)や体幹といった、身体の土台が安定することで、手足の運動や、知的発達が促進されていきます。

体幹が発達することで、姿勢制御・運動発達・認知機能にも好影響をもたしていくのです。

2-1. 姿勢の安定と運動発達

乳幼児は成長とともに、**首のすわり(3~4ヶ月)、お座り(6~7ヶ月)、立位(9~12ヶ月)**といった段階を経て体幹が発達します。

これにより、手足を自由に動かせるようになり、さらに高度な運動が可能になります。

2-2. 体幹の発達と認知機能の関係

体幹が発達すると、バランスを保つ力が向上し、探索活動が活発になります。

これにより、環境への興味が増し、視覚・聴覚・触覚を通じた学習機会が増加するため、知的発達にも貢献します。

2-3. 体幹の未発達による影響

体幹の発達が遅れると、以下のような問題が生じる可能性があります。

姿勢が不安定で転倒しやすい

運動発達の遅れ(ハイハイ・歩行の遅れ)

集中力や注意力の低下(座位姿勢の保持が難しいため、学習時に疲れやすい)

脳卒中後の体幹リハビリの重要性と方法

体幹のリハビリ

脳卒中後のリハビリにおいて、体幹機能の回復は歩行や日常生活動作の向上に直結するため、重点的にアプローチすることが重要です。

3-1. 体幹リハビリの重要性

体幹リハビリを行うことで、以下の効果が期待できます。

座位・立位の安定性向上

歩行の安定性改善

上肢・下肢の運動機能向上(四肢の動きを支える役割)

転倒リスクの軽減

3-2. 具体的なリハビリ方法

① 座位バランス訓練

骨盤前傾・後傾運動:骨盤を前後に傾けることで、腹筋・背筋の活動を促す。

側屈運動:体幹を左右に傾け、体幹筋の左右バランスを整える。

② 立位バランス訓練

重心移動訓練:左右に重心を移動し、バランス能力を向上させる。

片足立ち訓練:体幹の安定性を高め、歩行時のバランス能力を向上させる。

③ ダイナミックな体幹トレーニング

バランスボールを使用した運動:不安定な環境での運動により、体幹の反応性を高める。

四つ這い歩行訓練:体幹と四肢の協調性を向上させる。

④ 歩行訓練

体幹を意識した歩行練習:腕振りを大きくすることで体幹の回旋を促し、歩行の安定性を向上させる。

歩行補助具(杖・歩行器)を使用した訓練:段階的に自立した歩行を目指す。

3-3. リハビリの継続の重要性

脳卒中後の体幹リハビリは、一朝一夕では改善しません。

継続的な訓練を行い、適切な刺激を加えながら段階的に進めることが重要です。

まとめ

体幹は、乳幼児の発達にも脳卒中後の回復にも極めて重要な役割を担っています。

脳卒中後には体幹の筋力低下が著しく、生活動作に大きな影響を及ぼします。

そのため、体幹リハビリを重点的に実施することが、歩行や日常生活の自立度向上につながるのです。

リハビリを継続することで、より良い生活の質(QOL)の向上が期待できます。

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