脊髄小脳変性症(SCD)とは?原因・症状・リハビリの重要性
はじめに
脊髄小脳変性症(SCD: Spinocerebellar Degeneration)は、運動を調整する小脳や脊髄が徐々に変性し、運動機能の低下を引き起こす進行性の神経疾患です。
本疾患は原因や遺伝形式が異なる複数の病型を含み、特に進行性の運動失調(ataxia)が主な症状として現れます。
本記事では、脊髄小脳変性症の原因や症状、診断方法、治療・リハビリの重要性について詳しく解説します。
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脊髄小脳変性症の原因と分類
脊髄小脳変性症は、大きく「遺伝性」と「非遺伝性」に分けられます。
1 遺伝性脊髄小脳変性症
遺伝性のSCDは、親から子へと遺伝するもので、常染色体優性遺伝や劣性遺伝などのパターンがあります。
① 常染色体優性遺伝性(AD-SCD)
• 「遺伝性脊髄小脳失調症(SCA: Spinocerebellar Ataxia)」が代表的。
• SCA1、SCA2、SCA3(マシャド・ジョセフ病)、SCA6など、多くのタイプが確認されている。
• 小脳の萎縮が進行し、バランス機能の低下が主な症状として現れる。
② 常染色体劣性遺伝性
• 「フリードライヒ失調症(FA)」などが代表例。
• 比較的若年で発症し、進行が早い。
• 運動失調のほかに筋力低下や心疾患を伴うことがある。
2 非遺伝性脊髄小脳変性症
代表的なものに「多系統萎縮症(MSA: Multiple System Atrophy)」があります。
① 多系統萎縮症(MSA)
• MSA-C(小脳型):小脳の障害が主体で、歩行失調やふらつきが顕著。
• MSA-P(パーキンソン型):パーキンソン病に似た動作の緩慢さが特徴的。
• 自律神経症状(起立性低血圧、排尿障害など)も併発しやすい。
非遺伝性のSCDの多くは、加齢とともに発症し、遺伝的な要因が特定されていないものが多いのが特徴です。
主な症状
脊髄小脳変性症の症状は、主に小脳の機能障害による運動失調ですが、病型によって症状が異なります。

1 運動失調(Ataxia)
• 歩行時のふらつき(酔っているような歩き方)
• 手の震えや細かい動作の困難(書字障害、ボタンの留め外しが難しい)
• 話し方がぎこちなくなる(構音障害)
2 自律神経症状
• 起立性低血圧(立ちくらみ)
• 排尿障害(頻尿、尿失禁)
• 発汗異常
3 眼球運動障害
• 眼振(目が意図せず揺れる)
• 目の動きの遅れ(追視困難)
診断方法
脊髄小脳変性症の診断には、以下のような方法が用いられます。
1. 神経学的診察:歩行や協調運動の評価
2. 画像診断(MRI):小脳や脊髄の萎縮の有無を確認
3. 遺伝子検査:遺伝性SCDの場合、特定の遺伝子異常を特定
治療とリハビリの重要性
1 現在の治療方法
脊髄小脳変性症に対する根本的な治療法はまだ確立されていませんが、
以下のような治療が症状の進行を遅らせたり、生活の質を向上させたりするのに役立ちます。
1. 薬物療法
• タルチレリン(セレジスト):神経伝達を改善し、歩行能力を向上させる。
• パーキンソン病治療薬(MSA-P向け):ドーパミン補充療法。
• 自律神経症状に対する薬(起立性低血圧・排尿障害対策)。
2. リハビリテーション
• バランス訓練(転倒予防のための歩行訓練)。
• 上肢・手指のリハビリ(作業療法で食事や更衣の動作改善)。
• 発声・嚥下訓練(言語聴覚士によるリハビリ)。
在宅リハビリの重要性
脊髄小脳変性症は進行性の疾患であるため、通院リハビリだけでなく、在宅でのリハビリが非常に重要です。
• 日常生活動作(ADL)の維持:自宅でできるリハビリを継続することが生活の質(QOL)の向上につながる。
• 福祉用具・環境調整:歩行補助具(杖、歩行器)や手すりの設置を適切に行う。
• 家族や介護者への指導:介助方法を学び、負担を軽減する。
まとめ
脊髄小脳変性症は進行性の神経疾患ですが、適切なリハビリテーションや環境調整を行うことで、患者のQOLを向上させることが可能です。
特に、在宅でのリハビリや作業療法の継続が重要となります。
今後、遺伝子治療や新たな薬剤開発が進めば、治療の可能性も広がるでしょう。
患者や家族が疾患を正しく理解し、適切なサポートを受けながら生活できるよう、医療・福祉の連携が求められます。
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