高齢者の栄養状態ってどうやって評価する?【GNRIとMNA】
高齢者の栄養管理については、以前より重要視されていましたが、
近年、リハビリを実施している高齢者の栄養管理への関心も強くなってきており、「リハビリ栄養」という造語も耳にすることが増えてきました。
栄養評価スケールは対象や目的によって様々なものが存在しますが、
今回はその中でも、高齢者の栄養評価スケールである「MNA」と「GNRI」について解説したいと思います。
リハビリ栄養についてはコチラから→「2人に1人は低栄養?リハビリ患者は要注意!」
MNA(簡易栄養状態評価評)
「MNA」とは、栄養評価ツールのひとつで、日常生活を送る高齢者の栄養状態を評価するために開発された方法です。
MNAは、栄養状態だけでなく、身体機能や生活機能も含めた総合的な評価を行うため、高齢者の健康管理に広く使われています。
概要
MNAは、以下の項目について評価を行います。
1.身体的状況:身長、体重、体重減少の程度、食事摂取量、消化吸収、疾患状態など。
2.生活機能:日常生活動作(ADL)の状況、寝たきりになっているかどうか、手術を受けたかどうか、認知機能の状況など。
3.栄養状態:血液検査の結果、栄養補助食品の使用、食物摂取頻度、食物選好など。
MNAでは、各項目についてスコアをつけ、総合的な評価を行います。
カットオフ
スコアは最高30点で、以下のように評価されます。
1. 24点以上:正常栄養状態
2. 17~23.5点:軽度の栄養不良状態
3. 17点以下:重度の栄養不良状態
MNAは、高齢者の栄養状態を評価するために広く使われており、栄養士や医師、看護師などの医療従事者によって実施されます。
MNAを用いることで、高齢者の栄養状態の早期発見や、適切な栄養管理の実施につながります。
GNRI(老年者栄養リスク指数)
GNRI」とは、Geriatric Nutritional Risk Index(老年者栄養リスク指数)の略称で、高齢者の栄養状態を評価する指標のひとつです。
GNRIは、身体的な状況と栄養状態の両方を考慮して、高齢者の栄養リスクを評価します。
概要
GNRIは、以下の2つの指標から算出されます。
1.血清アルブミン値:血液中のアルブミン濃度を測定し、GNRIの計算に使用します。
2.身長:身長を測定し、体重の標準値を計算するために使用します。
GNRIの式は以下の通りです。
GNRI = [ 1.489 × アルブミン値(g/dL)] + [ 41.7 × (現在の体重 / 標準体重) ]
標準体重は、BMIが22となる身長の値であり、男性は身長165cm、女性は身長155cmとされています。
カットオフ
GNRIは、以下のように評価されます。
- 98以上:正常栄養状態
- 92~98未満:軽度の栄養リスク
- 82~92未満:中等度の栄養リスク
- 82未満:重度の栄養リスク
GNRIは、高齢者の栄養状態を簡単かつ迅速に評価することができます。また、アルブミン濃度の測定が容易であるため、GNRIは一般的に実施が容易で、広く利用されています。
使い分け
ふたつとも誰でも簡単に評価することができますが、
病院ではほぼ確実に血液検査をしており、アルブミン値の数値を把握することが出来るため、
GNRIでの評価をオススメします。
そのため、
・在宅や施設などでの栄養評価ならMNA
・病院に入院している方の栄養評価ならGNRI
という使い分けをすると良いでしょう。
まとめ
今回は、高齢者の栄養評価スケールについて解説しました。
リハビリ患者の2分の1は低栄養と言われており、
セラピストも積極的に患者の栄養管理に参加することが薦められています。
リハビリの効果を最大限出すためにも、ぜひ明日からの臨床に活かして頂けると幸いです。
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