臨床研究ってどうやってやるの?【現役作業療法士が解説】

「臨床研究してみたいけど、なんか難しそう」

このような悩みを持っているセラピストも少なくないと思います。

私自身、研究メンバーを募る際に「やってみたいけど難しそうだし」「統計が全くわからないし」

などの声を多く耳にします。

今回は、“研究には興味があるけど今一つ踏み込めない”というセラピストに向けて、

臨床研究の大まかな進め方と注意点を解説しようと思います。

なぜ研究をするのか?

まず、臨床研究を始める上で重要なことは、「なぜ研究をするのか?」という事です。

これに関しては、「周りがやってるから」「セラピストとして評価されるから」などの意見を耳にすることがあります。

上記のような動機で始めることも、きっかけの一つとしては悪いことではないと思いますが、

私の経験上、それだけで研究をしている方の多くは途中で断念することが多い気がします。

まず前提として、研究の目的は

「患者のアウトカム(結果・成果)を改善するため」

これにつきます。

日常臨床の疑問を元に、目の前の患者がもっとよいアウトカムが得られる手段はないか、適切な評価基準はないか、

という視点で、情熱を持って取り組んでもらえると幸いです。

研究の進め方

1 大まかな研究テーマを決める

まずは大まかな研究テーマを決めましょう!

上記でも触れた通り、研究テーマは常に日常臨床の中にあります。

「当たり前とされているこの方法は本当に最適なのか?」

「このような症例に共通してることってなんだ?」

「こうしたらもっと良い成果が出ると思うんだけどなー」

このような日頃の疑問や違和感、すでにみえている問題点を元に、

「臨床で診る機会が多い症例・病態か」「今いる職場で実施可能か」「サンプル(症例)は集まるか」という事を加味し、研究テーマを決めてみましょう。

⚫︎先行研究のレビューを十分に行う

大まかな研究テーマが決める際は、必ず先行研究のレビューをしっかり行うようにしましょう。

臨床研究には新規性が重要です。

すでに研究されている事をそのまま真似しても、研究としては評価されません。

先行研究がどのような目的で、どのような方法で行われ、どのような結果が出ているか。

先行研究で課題として残っていることは何か。

ということを把握することで、より意味のある研究になります。

⚫︎臨床研究の分類

 臨床研究は疫学研究の型による分類方法に準じて、以下のように分類されます。

本記事では詳細は割愛しますが、ご参考までに。

2 研究メンバーを募る

次は研究メンバーを募りましょう!

「研究しようと思うんだけど興味ある人〜!」のようなアナウンスをすると、

意外と「一緒にならやってみようかなー」という人が現れたりします。

研究内容にもよりますが、ある程度のデータを扱う研究の場合、1人で全てを行うのは至難の技です。

まずは2〜5人程度を目安に、メンバーを募ってみましょう。

ここで注意してほしいことは、「あくまで主体は自分」という事を忘れない事です。

「みんなで研究する」というスタンスで進めてしまうと、

熱量や仕事量に差が出てきた時に「自分はこれだけやってるのに、それに比べてあの人は、、、」

という内輪揉めが必ずと言っていいほど発生します。

これが原因で研究チームが崩壊しているパターンを何組もみてきました...

同じ熱量で取り組める同士がいることが一番良いですが、「手伝ってくれてありがとう〜」ぐらいのスタンスがいいかと思います。笑

3 「研究計画書」の作成

研究内容とメンバーが決まれば、次は「研究計画書」の作成に移ります。

研究計画書とは、

①背景:なぜこの研究をしようと思ったのか

②目的:今回の研究で何を検証し、明らかにしようと思ったのか

③対象と方法:どのような症例を対象にするか。どのような手法や統計方法を使用するか。

④予測される結果:今回の研究でどのような結果が予想されるか。

について記載します。

研究計画書の詳細は、コチラで詳しく紹介されていましたので、みてみてください。

4 倫理委員会への審査依頼

研究計画書が完成したら、次は倫理委員会に研究計画書を提出し、

「倫理審査」の依頼を行いましょう。

倫理審査は、道徳的な生/不正を問い、研究の真理性を保証するために行います。

学会発表や論文雑誌へ投稿する場合、倫理審査の登録番号や、審査年月日の記載が必要な場合があるため、

あらかじめ確認しておく事をおすすめします。

5 サンプル(症例)の評価・データ集計

倫理審査をクリアしたら、いよいよサンプル(症例)の評価・データ集計です。

どのような研究デザインにしろ、この評価・データ収集が正確に行えていないと意味がありません。

数値に間違いはないか、エクセルへの打ち込みがズレていないかなど、十分に確認しながら行いましょう。

私自身の体感だと、ここが一番大変だったりします。

時間も労力もかかりますが、踏ん張って頑張りましょう!

6 統計解析

臨床研究

評価・データ集計が終了したら、遂に統計解析です。

症例報告の場合はこの作業はないため、とばしてもらって大丈夫です。

統計解析ツールは様々ありますが、私はRコマンダーを使用しています。

インストールに少々時間がかかりますが、無料なのでぜひ活用してみてください。

7 抄録作成・論文執筆

ここまで終了すると、最後は抄録・論文執筆です。

この段階の前に、一度施設内で発表をしたり、第三者に添削してもらうこともおすすめです。

投稿する学会や、論文雑誌によって執筆要綱が定められているため、作成する場合は確認しながら執筆していきましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は簡単に臨床研究の流れをご紹介しました。

「大変そうだな〜」と思った方も少ないくないと思いますが、正直確かに大変です。笑

しかし、研究を通して新たな視点が生まれたり、何より研究をやり切った後の達成感はなんとも言えないものがあります。

ぜひ、一歩踏み出してみてください!

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